美食総決算:The 5 Best Dishes of 2014
「世界の食にふれたい」と、あちこち旅して回った2014年。とりわけ印象深く記憶に刻まれた5品をランキング形式でまとめてみました。ふりかえると、今年は“スターシェフが手がけるガストロノミー”より、限られたシチュエーションでしか味わえない鮮烈な体験に心を惹かれたようです。
第5位はノルウェーの北極圏キルケネスで味わったキングクラブ(タラバガニ)です。外気はマイナス10度。1日中太陽が昇らない「ポーラーナイト(極夜)」の暗闇のなか、フィヨルドから水揚げしたばかりのキングクラブを豪快に薪で蒸しあげました。
第4位はエジプト西部のギルフ・エル・ケビールで食べたヤギのシチュー。砂漠での15日間におよぶテント生活の最終日、つい夕べまで同行していたヤギをさばいて砂に埋め、2時間かけて蒸し、やわらかくなった肉を煮込んだ砂漠の民ベドウィンの特別料理です。
第3位はスイス・チューリヒのホームパーティでごちそうになったラクレットをピックアップ。ゆでたてあつあつのジャガイモに専用オーブンで溶かしたとろとろのラクレットチーズをたっぷりのせて専用スパイスをパラリ。スイスの白ワインもたまりません。
第2位はオーストラリア・シドニーの超人気店「TESUYA’S」のシグネチャーディッシュを。オーストラリアに“和の要素”と“小皿料理のコンセプト”をもたらしたオーナーシェフ・和久田哲也さんは、オーストラリアでもっとも有名な日本人です。掲載した写真は代表的なひと皿ですが、こちらの料理はコースの流れで味わってこそ本質がつかめると思います。
そして第1位は、バングラデシュの首都ダッカにある会社のキッチンに潜り込んで、おすそわけしてもらったベンガルカレーの数々です。会社勤めをしながら毎日できたての家庭料理を食べられる環境やからっぽの冷蔵庫、あつあつの料理を指で食べ、使ったお皿はなめてきれいにするといった食習慣も印象的でした。
もうすぐ2014年も終わり。来年はどんなものを食べて生きのびていくのでしょうか。2015年もどうぞよろしくお願いいたします。どうぞよいお年をお迎えください。